「みえない雲」観賞など

ちょいちょい話題になってる通販生活の付録DVD「みえない雲」を観ました。
まあなんていうか、☆3.5。前半ハイスクールきゃっきゃうふふ、中盤パニック、後半ヒューマンドラマといったような構成で、内容としては原発事故の影響でいろんなものが狂ってほんとに皆苦しいけどそれぞれ生きていこう寄り添っていこう、というような。個人的にはあんまりそういうタイプのストーリーに思うことや感情移入はほぼしない人なので、評価が難しいところではありますが。少なくとも駄作じゃないけど、素晴らしい素晴らしいとクラップするほどでもないという感じです。悪く言えばありきたり、良く言えば王道。

通販生活といえば反原発・沖縄問題をよくよく取り上げて記事にしている左翼寄りの論壇ともなっているわけですが。基本的に雑誌本体の論調としては原発ゼロを目指しつつ、原発稼働派もやんわりとした口調で取りこんでいきたい、というような具合(だと思うん)ですが、正直なところ訴えているポイントはどうなんかなと。
例えば、巨大地震が再び起きてその時に原発が事故ったらどうするのか。その時が来るかはわからないが、311の経験として事故る前に止めた方が良いのは道理、というような形で書いておられます。
ですが、巨大地震がまた起きた時に止まるのは原発だけじゃなくて他の火力や水力も同様でしょうし、その時に原発以外の発電施設が大きくダメージを被り、原発は大丈夫だったらどうするんだろうという疑問があります。現状、原発は軒並みストップがかかっており、その分を火力発電で頑張っているわけですが、火力発電施設はちょいちょい細かな問題が生じるので止まることもあります。メンテがけっこう大変らしいんですね。で、現状のようなあまり想定していなかった形で多少無理しながら動かしてる火力発電所が、次の大地震で大丈夫なんだろうかと。
通販生活さんが述べたいことはある程度わかるんですけどね。とはいえ、その他にも言及不足や乱暴な部分があるのは否めないところで(LED製品に「私も脱原発」なんてコピーは正直どうかと)。まあ勿論、原発で続けていくにしても貯蔵プールやら活断層なんかの問題はあるわけで、そっちについて専門家の意見を取り上げるのは良いと思います。バランス取って頑張って頂きたい。

原発問題というのは、散々信用が落ちてきていた政治における危機管理の甘さが地震でボロっと出て来ちゃったという登場の不運や、戦後日本独特の原子力嫌悪、巨大な被害については「皆で寄り添おう」という阪神大震災以降の風潮など、大なり小なりの環境からの影響が大きくて、感情的に先走る部分が大きく、まっとうな議論のための環境が失われている気もします。SNSが広まりそれぞれ気軽に発信できるようになったといっても、SNSで相互に深く交流ができるかというと難しいところもありますしね。
現場の話をすれば、代替エネルギーにしたって充分な技術と人員と量産体制を確保するには10年以上はかかるでしょうし、復興にしたって資金調達と調整でもっとかかるでしょう。そういった気の長い流れ、現実的な壁についてももっと注意と関心を振り向けたりするべきではないかと。
未来のことを語るのは良いのですが、それで頑張ってる現場を邪魔しちゃいけませんし、素人なりの謙虚さや、思うのは自由でも言って良いこと悪いことということも考えなくちゃと思います。結局、2年近く経ってもいまだこのくらいしか状況が進んでいないというのは、そういった環境の落ち着きが足らないのも少なからずあるでしょう。

などと機会に乗じてつらつらと考えていたことを。